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2008年10月21日 (火)

教育系レポート作成例;発達社会学・現代日本における親子関係の特徴。

出題:発達社会学的視点から現代日本における親子関係の特徴を述べなさい。

 発達社会学は、諸個人の発達について社会学的に研究を行うものである。個人の発達については心理学的な手法を用いた研究が圧倒的に多いが、発達社会学においては、社会構造や社会規範、文化的あるいは歴史的な諸次元が発達にとっていかに重要かという視点をもって研究を行う。個人の発達は、社会のなかで起こるということを前提とするものである。
 このように個人の発達を社会の中で起こるということに注目する概念の一つが、<社会化(socialization)>である。社会化とは、個人が社会的な状況のなかで、他者との相互作用を介して、価値や行動のパターンを学習する過程である。
 親子関係と発達社会学の関係でいえば、生涯にわたる親子関係のそれぞれの段階において、子どもと親双方の価値観と行動パターンは、どのような社会的過程を経て、どのように変化していくのか、こうした過程と変化を規定する社会的要因は何か、親子間の関係自体が、それぞれの段階でどのような様相を呈し、どう変化していくのか、それらを規定する社会的要因は何か、といったことを探究することが発達社会学の課題とされる。親子関係の具体的な様相を追求するのではなく、それを規定している社会構造や社会規範、社会の変化に注目して、親子関係の様相を成立させている社会的要因を探ろうとするのが発達社会学の視点から捉えた親子関係である。
 では、このような発達社会学の次元から現代日本における親子関係を捉えてみるならば、どのように見えるのだろうか。
 近年、家族は大きく変化している。それは当然、親子関係にも変容をもたらす。その典型的な例は、マルティプル・ペアレンティングの喪失である。近年の親子関係は、母親のみに養育役割が集中するというケースが多い。
 前近代社会の養育環境では、マルティプル・ペアレンティングが実現していた。例えば祖父母やオジ・オバ、地域コミュニティ等によって、子どもは複合的なソーシャライザーによって社会化されていた。したがって、母親の社会化責任も相対化されていた。
 これに対して、近代産業社会では、核家族化、父親の職場への長時間の拘束、親族ネットワークの拡散、地域コミュニティの弛緩といった状況のなかで、子どもの社会化は母親が独占的に担わざるを得ない状況になっている。前近代社会のような複合的な養育構造から、ほぼ全面的に母親が背負うという単純な構造に移行していったのである。
 このような単純な育児構造の中で、専業主婦としての母親の関心やエネルギーが、少ない子どもに注がれていく。過干渉や過保護といった親子関係である。また、全面的に母親が育児を背負うことから、母親の育児不安も増加している。単純な育児構造においては、母親と子どもの関係をサポートしたり、補完・相対化したりする社会的な仕組みが脆弱である。その結果、様々な問題が生じている。例えば、子ども虐待の増加の背景には、このような育児構造の変化があると思われる。
 したがって、今日、新たな養育構造への変化が求められている。それは、母親と子どもといった単純な養育構造ではなく、複合的な養育構造である。母親のみでは担うことが不可能な養育機能を、父親を含む家族全体や地域社会とも連携していくようなこと、そして、子育てのネットワークを形成していき、多くの養育担当者が子どもの周りに存在する、という養育構造である。
 性別役割分業が疑問視され、女性の生き方が変化しつつある今日、子どもの養育を母親が独占するといった親子関係・養育構造ではなく、養育関係が分担されていくような新たな親子関係・養育構造の構築が求められている。(1496字)

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